こんがらがったお話

《《《注意》》》

・本記事はシャニマスのストーリーイベント『薄桃色にこんがらがって』について言及しています。このイベントコミュを観ていない方にはネタバレとなってしまうためまずはそちらの視聴を強くお勧めします。というか観てください。全人類観てください。幸福論は必修科目です。

・下書きなしのぶっつけ本番で書き殴っているので以前の記事に比べてかなり質が悪いです。ただの限界です。ご容赦ください。

 

目次

1.はじめに

2.イベントコミュの天才すぎるテーマ設定

3.”反対ごっこ”がもたらした成長への道筋

4.甜花ちゃんの名采配を探る

5.限界あとがき

 

 

 

1.はじめに


 こんにちは。ボタ餅です。
 いつもはここでVelvetRoseの考察とか怪文書とか書いているのですが、今回はデレマスではなくシャニマスについて駄弁りたいと思います。

 

 

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イベント開始直後に見て己の死を悟ったイラスト

『薄桃色にこんがらがって』

 

 予告が出た時点で「あっこれは死ぬやつだ」と確信こそはしていたものの、蓋を開けてみて飛び込んで来たのはそんな処刑宣言を遥かに超えるドヤバイストーリーでした。だいたい第2話くらいからすでに泣いてたし、最後らへんはもう涙止まんないし、Twitter上でこのイベントコミュの話してる人を見かけただけで泣きかけるくらいには限界になってました(そんなのいつも通りだろと言われてしまったら何も言い返せない)
 さらには前川涼子さんのチョクメでさらに大感情になり、メールを読みながら泣くヤバイ奴になってしまって、「これはあれだ、VelvetRoseの時と同じやつだ、言語化しないとダメなやつだ」と悟ってしまい、こうして筆を取ったわけです。研究引き継ぎと就活で忙しい時に何してるんだろ自分
 そんなこんなで書いていきますがいつも以上に文が乱雑です。あと時間の関係であまりまとまってないので流し見程度で読んでくだされば幸いです。


追記:結局時間が足りそうに無く、今回は甜花ちゃんについてをメインに考察しました。もちろん甘奈ちゃんと千雪さんにも特大感情になっちゃってるのでいつか詳しく喋り出すかもしれません。もうホント3人とも大好き

 

 そのお詫びといってはなんですが、私が以前ちゃんと練った上で時間を懸けて生み出した(今回の考察のおかげで自作なのに解釈違いを起こした)大崎姉妹ssを置いておきます。興味があればこちらもどうぞ。

 

www.pixiv.net

 

 

 

2.イベントコミュの天才すぎるテーマ設定


 今回のストーリーが何故これだけ刺さってしまったのか。コミュを観終わった直後にこれについて感じたことを率直に書くとするならば、


『"アルストロメリアの衝突"を、"勝敗の決まっている出来レース"で描いたこと』


 これに尽きます。
 まずは前者について。(各アイドルの詳細な考察でも述べていきますが)アルストロメリアは基本的に『幸せな空間』を演出するユニットです。シャニマスの5ユニット中、ある意味で『偶像(アイドル)』を最も表現しており、よくドラマやゲーム作品で取り上げられるような特異なギスギス感とは程遠いユニットです。「アルストロメリア見てたら寿命伸びた」とか「日本が核を持たない理由」とか限界オタクがよく言ってますがあながち間違っているわけではなく、素直に最速で幸せになれるアルストロメリアはそんなユニットなのです。
 だからこそ、このテーマは彼女達にとってアブノーマルでありタブーな領域でした。各ユニット推しにそれぞれ激震を走らせたファン感謝祭編でさえこのテーマには触れることがなく、主に甘奈ちゃんの葛藤について語られました。アルストロメリアだけに限らず、"葛藤"はシャニマスでよく取り上げられるテーマです。アンティーカやストレイライトはそのさらに先のぶつかり合いまで描かれることが多かったですが、ことアルストロメリアに関しては決して触れられることがありませんでした。(大満足なんですけどね!!!ファン感謝祭編は全部素晴らしいので!!!)
 しかしながら今作はついにセーフティが外れ、オーディションと千雪さんの過去を媒体とした"ユニット内の戦い"が描かれることになります(むしろこれくらいで良かった、本当にギスギスしたらマジで身を投げてましたそんなアルストは見たいけど見たくない)。これまで触れられなかったからこそ、新しい見解や感情が生まれる瞬間を目の当たりに出来たんです。だからこんなに泣けるんですかね………。
 ファン感謝祭編の、その先の物語。無限に成長し続けるこのコンテンツ一生好きです。

 


 後者について。


――そ、そんな話聞いてないですよ……!それじゃあ出来レ――


 オープニングでプロデューサーが言いかけたこの言葉。聞いた瞬間に確信しました。

 

Straylight.run()の逆だ!!!!!!

 

 ストレイライトの初ストーリーイベント、初めから勝敗が決まっていた『海辺のアイドルバトル』。アイドルものには欠かせない王道モノのこのテーマにおいて、アイドルマスターのアイドル観に一石を投じ、逆光に負けない光を放つストレイライトだからこそ、彼女たちは"確定負け"を最大限に魅力的に惹き出していました。冬優子がユニットメンバーに"冬優子"を見せるきっかけになったこのテーマは、逆にこれが無ければストレイライトが消滅していたことすら意味しています。いずれにせよ彼女たちには避けては通れない門だったでしょう。同時に、他のユニットでは良い意味で二番煎じになるテーマになってしまったなと、思い込んでいたのです。そう、去年までは。

 

来たじゃん!!!!!

 

 ビビりました。同時にシャニマスのライターは本当に天才だと思いました。まさかその話題を、"確定勝ち"の観点でもう一回引っ張ってくるなんて、しかもそれをそういうものとは無縁そうなアルストロメリアにやらせるなんて………天才です。マジで天才です。ノーベル文学賞あげたい。
 そしてさらにその役目を甘奈ちゃんに背負わせる点も鋭かったです。観進めるうちに理解することが出来ましたが、"確定勝ち"を背負うことが出来たのは3人の中で甘奈ちゃんしかいませんでした。そして負けてしまう役目は千雪さんにしか出来ません。甜花ちゃんではいけなかったのです。その点は後述。

 また、今作は回想シーンが随所に散りばめられていました。無声でテキスト無しの空白によって、物語と心情に深みが増したのです。挑戦的な演出の数々は、今作の感動を惹き立てるに充分な役目を果たしたと言えるでしょう。

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第4話。アルストロメリアの大事なシーンが駆け巡り、思い出ボムが大爆発しました。

 

 

3.反対ごっこがもたらした成長への道筋


 今作のもうひとつのキーワードは、面接練習で千雪さんが提案した"反対ごっこ"です。これが無ければ確実にバッドエンドに向かっていたと断言できる重要なカギです。

 『薄桃色にこんがらがって』を語るに留意すべき最重要項目は間違い無く"千雪さんの過去"を巡る葛藤でしょう。【ドゥワッチャラブ!】でようやく完結するこの項目は、今作のストーリーの中枢を司りつつ、甘奈ちゃんと甜花ちゃんにもスポットライトが当たるようになっている非常に繊細で複雑な議題でした。そんな千雪さんは今作のヒロインであり主人公、ひいては助演をも完遂したキーパーソンです。まずはそんな千雪さんについて考察してみます。


 小さい頃からの憧れの雑誌だった『アプリコット』のオーディション。甘奈ちゃんがシードに選ばれていることに行き場の無い嫉妬を覚えてしまった彼女は、本当の気持ちを言い出せずにいました。


『甘奈ちゃんならグランプリになれるし、ぴったりだってわかってる。自分が出場したら、迷惑をかけることも。』
『だけど、ずっと憧れだった雑誌なのに、大事な宝物だったのに。私も出たい、憧れの世界に立ちたい。』


 相反する気持ちに板挟みになった末に出場することになった千雪さん。しかしそのことで余計に状況を掻き乱してしまったことを酷く後悔することになりました。
 千雪さんは、アルストロメリアの最初のイベントの時から、甘奈ちゃんと甜花ちゃんの中に自分が入ることを遠慮していました。自分の思いを強く主張できないのは、『大人だから』『自分の方がお姉さんだから』という理性が働いていたからです。

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『満開、アルストロメリア流幸福論』第4話。ふたりのことを思うあまり、遠慮しがちな言動が随所に見られました。


 しかし心の内には子供のような純粋な気持ちを持っているのが千雪さんの魅力です。過去のイベントでも何度も垣間見えていましたし、『アプリコット』への気持ちがそれを証明しています。


 『それなのに、選ばれたのは甘奈ちゃんだった。自分は負けることが確定している。だけどそんなことは主張できない。自分は大人だから。お姉さんなんだから。』


 ただでさえ甘奈ちゃんやアルストロメリアに迷惑をかけることが辛いのに、そんな"こんがらがった"感情になってしまったから、千雪さんは本当の事を言えなくなってしまいました。対立してしまうのが怖くて、そうしたらアルストロメリアとしていられなくなってしまうと思ったのでしょう。


 そんな、行き詰まった感情を吐き出すことが出来たのが、"反対ごっこ"だったんです。

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「甘奈ちゃん、オーディション落ちたらいいのにーーー!」

最初に飛び出したこの言葉は、本心だし本心じゃなかった。どちらも違うし、どちらも正解だったから、言うことが出来たんです。"反対ごっこ"だったから、吐き出すことが出来たんです。
 もし千雪さんが"反対ごっこ"を通じて胸の内を曝け出すことが出来なかったら、アルストロメリアはぶつかり合うこともなくそのまま散ってしまっていたかもしれません。千雪さんにとってひとつの殻を破るきっかけになったのは、間違い無くこの"反対ごっこ"のおかげでしょう。「遠慮はしないんだ、もう」というエンディングの言葉にも込められているように、アルストロメリアはさらに"家族のようなユニット"に近づけたに違いありません。(年賀状はこのことを預言していた……?)

 そして、この戦いにおいて負けを背負うのは、大人と子どもの両面を見せつつも”卒業”することが出来た千雪さんにしか出来ないことなのです。負けてしまうことでも成長に繋げられるのは、今回のケースに限っては彼女しか適合出来ません。決して美談として語るつもりはありませんが、負けたことの悔しさが、今後の彼女をさらに成長させる一手に繋がるはずです。

 

 

 "反対ごっこ"の重要性は、甘奈ちゃんにとっても同じでした。"確定勝ち"になってしまったのが甘奈ちゃんだったからこそ、これを通じた千雪さんと甜花ちゃんの思いを聞けなければ瓦解していたことでしょう。
 甘奈ちゃんが最も恐れていたのは、『自分のせいでアルストロメリアが無くなってしまうこと』なのではないかと私は考えています。W.I.N.G.編とファン感謝祭編で、甘奈ちゃんが"今を大事にしたい"思いを強く持っていることは周知の事実です(これに関する考察はssを通じてたくさん書いたので詳しくはそちらを参照してください)。

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『ファン感謝祭』編は、変わること、変わりたくないことが重要なポイントでした。

 甘奈ちゃんが自責の念に駆られることは、過去のイベントでも多数見受けられます。相手を想うあまり、自分のせいで不幸にさせてしまったら、居た堪れない気持ちになる…甘奈ちゃんは、本当に優しい子なんです。その優しさ故に、これまでも今回もたくさん悩んでしまったんです。

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『完録!クエストロメリア!』第5話より。周囲を気遣ったことで失敗してしまうことも。

 

 第5話のタイトルにもなっている"こわい"という感情は、『自分が勝ってしまうことで千雪さんを悲しませること』、『自分が負けてしまうことで今までのような関係でいられなくなるかもしれないこと』という、どちらに転んでも避けられない事態を危惧していたからではないでしょうか。
 本当は戦いたくない。それは紛れもなく甘奈ちゃんの本心です。アルストロメリアの中で対立なんて起こしたくない、そしたら今の関係が壊れてしまうから。


 だけど甘奈ちゃんは、"反対ごっこ"で千雪さんの想いを聞いて、自分を奮い立たせることが出来ました。千雪さんの本当の思いに応えること、全力で戦って向き合うことを決めました。それは、"3人でアルストロメリア"という言葉の本当の意味に気付いたからです。

 

「いい時だけ一緒なんじゃなくて……そうじゃない時も一緒なんだってこと」

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 ぶつかり合うことは、今を大事に"しない"ことではありません。今も未来も大事だから、時には対立するんです。
 "反対ごっこ"がもたらしたもの、それはアルストロメリアが避けてきた『衝突』に向き合うきっかけだけでなく、甘奈ちゃんにとっての『今を大事にしたい気持ち』の変容なのではないでしょうか。そしてその変容によって、甘奈ちゃんたちは3人でライバルとなり、3人でアルストロメリアとなれたのです。"反対ごっこ"があったからこそ、アルストロメリア「新しい季節を迎える」ことが出来たのだと、私は強く思います。

 

 


4.甜花ちゃんの名采配を探る


 今作は全部ヤバすぎてあまり話題に上がりませんでしたが、甜花ちゃんの名采配について大声で語りたいんです。そして同時に、私自身の今までの解釈を改めなければならなくなったきっかけでもありました。


 甜花ちゃんと言えば?と聞くと、「お休みを要求しまくる」「失敗ばかりする」「すぐに不安になる」など、"出来ない子"という初期印象がどうしても先行してしまいます。ですが、そこからW.I.N.G.編やファン感謝祭編、各pSSRのストーリーを通して、『出来ない子から出来る子へ成長していったシンデレラストーリー』を体現していきます。その変わり様、成長の軌跡があまりにも尊く、私は彼女にゾッコンとなりました。(そして可愛い。とても可愛い。)
 その成長過程を充分に理解しているつもりだった私が、衝撃を覚えた今作。甜花ちゃんの行動が、完璧すぎたんです。もちろん今回のイベントの中で成長した部分もあり、これまでの2年間の成長も積み重なっていますが、それでもあまりにも出来過ぎていて違和感を感じてしまうくらいに。


 でも、その違和感自体が間違っていたんです。甜花ちゃんは、出来る子だったんです。私自身が彼女を理解していなかったのです。


 コミュ第3話で甜花ちゃんはオーディションの真相を偶然耳にし、第4話でプロデューサーの元へ自ら赴いて問い詰め、事の詳細を知ってしまいました。その時点で、甘奈ちゃんの葛藤、千雪さんの想いを含めて全ての情報を得ているのは甜花ちゃんだけ。一歩でも間違えればユニット崩壊さえ見えてしまった綱渡りの状態で、彼女は足を踏み外すことなく幸せな未来に辿り着きました。その行動力と洞察力は、果たしてアイドルの活動を経ることで全て身に付けたものだったのでしょうか?


 違う、と言うことを思い知らされました。甜花ちゃんには初めから、全てを成し遂げる力が備わっていたのかもしれないのです。


 例えば、クエストロメリア。落ち込んだ雰囲気を打破しようと、KPTを再び提案したのは甜花ちゃんでした。甘奈ちゃんの怪我にいち早く気付き、苦手だと自覚しながらもインタビューを代わりにやろうとしたのも、甜花ちゃんでした。こちらに関してさらに言及すると、代わることがズルだと分かっていることから、「妹を気遣って助けたいと思った」という単なる感情論では無く、各々の事情や変えられない使命(仕事という環境)を加味して理性的に考えた結果導いた答えだということがわかります。総じて、クエストロメリア内の甜花ちゃんは、周囲の状況を把握したのち自分の中で考察して、適切に行動に移すことができているのです。

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『完録!クエストロメリア!』より。状況判断から最初の提案へのプロセスが3人の中で最も早く、好転へのきっかけを作り出しています。


 例えば、海の家。混雑する接客業務で甜花ちゃんは抜群の記憶力を見せました。「その気になればなんでもできるんだって知ってもらわなきゃ」という甘奈ちゃんのセリフにもあるように、以前からでもこれだけの実力を発揮することが可能だったと推測できます。また同イベントのエンディングでは、線香花火が苦手だった甘奈ちゃんを長年気にかけていたことがわかります。自然な素振りでさりげなく気遣い、相手を思いやる気持ちを持っていること、先見の明を持っていること。これらはアイドルとして培ったものではなく、もともと甜花ちゃんに備わっていた力として見るのが正しいと思われます。

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『夏は短し海でしょ!』エンディングより。千雪さんが線香花火の存在に気付いた直後に、甘奈ちゃんを心配する素振りをすぐ見せていました。


 『Bloomy!』のオーディオドラマにも関連していると思われるエピソードが収録されています。幼少期に迷子になった大崎姉妹は、両親を探すべくあてもなく彷徨います。泣き出す甘奈ちゃんをなだめ、自身も不安を感じつつも、姉として果敢に行動した甜花ちゃんは、既にその時から能動的に動くことが出来る子だったのです。
 幼少期における成長の決定打となったのは射的の一件だったのではないかと考えられます。時系列は不明ですが、射的の景品が獲れなくて甘奈ちゃんを悲しませてしまったことをきっかけに(はたまた明かされていない別のエピソードがきっかけで)ゲームと出会ったのではないでしょうか。ゲームの中には思考力や洞察力が試されるものも数多く存在します。また、射的に代表される非日常的なスキルも身につく機会があるでしょう。その中で甜花ちゃんはそれらの力や行動力を養ったのかもしれません。そしてその根幹を成していたのは紛れもなく、大切な妹、甘奈ちゃんへの"好き"の感情です。"家族愛"というこれ以上無い強い結びつきが、甜花ちゃんの潜在能力を伸ばしたトリガーだったのではないでしょうか。

 

 

 今回のイベントに戻ります。
 第5話、ジンジャー入りミルクティーから始まった会話で、甘奈ちゃんは思わず苦悩を吐露します。既に真実を知ってしまっている甜花ちゃんにとって、その時点での甘奈ちゃんの葛藤は結果的に空中分解してしまうこともわかっていたはずです。けれど、甜花ちゃんは本当の事を言いませんでした。その後甘奈ちゃんは一度オーディションを辞退しようという決意をしてしまいますが、もしこの時に甜花ちゃんが真実を伝えていたら、辞退の決意は揺るがないものになってしまっていたでしょう。例えプロデューサーや甜花ちゃんが再度説得したとしても、「自分のせいでこうなった」という自責の念から逃れられなくなっていたのではないかと私は思います。言うタイミングを見計らった甜花ちゃんの判断は賢明だったと言えます。
 少し話は逸れますが、これは第4話冒頭でのはづきさんの行動によく似ています。はづきさんも真実を知っていて、逡巡しながらも「……普通に考えれば、」と正論を諭すに留まりました。コンプライアンス的にも当たり前のことと言われれば当たり前ですが、先々のことを見通して最適な行動を取るのは大人の思考回路です。

(さらに話が逸れれば、はづきさんがこのときに「大人じゃないんだってば、私たち〜」と伝えたのが超絶ファインプレーです…。千雪さんが抑えようとしていた感情は"悪い感情ではない"と肯定してあげること、それが出来る立場は283プロのアイドルに対して唯一呼び捨てできるほどの仲であるはづきさんしかいないと思います)

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第4話冒頭。千雪さんと真の対等な立場で悩みを聞いてあげられるのは、きっとはづきさんだけ。

 

 そして、"反対ごっこ"のときの叫びにも、甜花ちゃんの聡明さが表れています。
 甜花ちゃん自身も『なーちゃんに勝ってほしい』『千雪さんに勝ってほしい』という同時には叶わない思いが渦巻いていました。それを"反対ごっこ"で自己整理させるとともに、戦わないことが最悪の結末を産んでしまうことを、甘奈ちゃんに気付かさせたんです。

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「……なーちゃん、負けてもいいよ……!負ければ……壊れちゃう、から……!大事なもの………!」


 この印象的な叫びを反対に紐解いてみると、『オーディションに勝って。勝てば、大事なものは壊れないから』ということになります。「負けた時が、怖いよ…」と告白しているのを聞いている甜花ちゃんだからこそ、正直に伝えたかったのでしょう。

 ふたりが戦わないことではなく、本気で、全力で戦うことが大事なんだ、と。甜花ちゃんは、第4話でのプロデューサーの言葉を思い出して叫んだのだと思います。これも、第三者の立場にいて真実を知っていた甜花ちゃんだからこそ出来た立ち回りです。


 そして最大のファインプレーは言わずもがな、オーディション会場に先生を連れて行ったことです。先ほどの"オーディションに勝って"というのは"確定勝ち"のことではなく、双方が納得のいく勝敗によって勝ったと思わせること。『アプリコット』の制約に縛られている限り、いくらふたりの間で戦ったとしても、絶対に勝利判定が出てしまう甘奈ちゃんは納得のしようがないし、千雪さんは結局戦う対象が自分の自己満足だけになってしまいます。この、ふたりの別々の戦いになってしまっている状況を、オーディションの先生というジャッジの介入によって同時に解決することが出来ました。プロデューサーでも甜花ちゃんでもないさらに別の人物によって、主観が入らない公正な判定が可能になり、出来レースでしかなかったオーディションに意味を持たせることが出来たのです。その後、先生がふたりに勝敗を伝えた描写はありませんでしたが、千雪さんがエンディングで「悔しい………悔しいなぁ………っ」と涙を流していることからも、甘奈ちゃんが正式に勝ったと予想できます。オーディション後のふたりは涙を見せることこそありましたが、その表情は晴れやかです。甜花ちゃんの機転のおかげで、意味のある戦いになったのだと容易に想像することができるでしょう。

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後悔が残らない、納得のいく結果。むしろ、勝負に挑んだことでより良い未来を紡ぐことが出来ました。


 自分の席を譲ってでも、ふたりのために決意して行動した甜花ちゃん。甘奈ちゃんと千雪さんを思う気持ちと的確な判断が身を結んだ、名采配だったと思います。

 

 

 

 

 

5.ただの限界駄弁りあとがき


 ここまで読んでくださりありがとうございました。


 もう全ッ然まとまってませんでしたねwww今自分でも読み直してそう思ってます。駄文に付き合わせてしまって申し訳ありません。
 それでも今回のコミュは本当に素晴らしかったです……。ファン感謝祭編とか去年のプロデューサー感謝祭の特別コミュとかでもボロッボロ泣いてましたが、今回のは別ベクトルの感動があってボロ泣きしてました。アルストロメリアの成長、甜花ちゃんの成長を観れることが本当に嬉しいです……(T ^ T)

 今までもわかってはいましたがシャニマスのライターはやっぱり天才です……。第2話でウォーキングの練習をしているときの「力を抜かなきゃ……屈んで、ゴリラになっちゃうんだよね………!」という甘奈ちゃんのセリフ、その時点ではユーモアのひとつだし甜花ちゃんが「なーちゃん、ゴリラさん……それも……可愛いよ……!」とか言うし尊いなぁ(脳死)としか思ってなかったのに、エンディングへの伏線になっているなんて思いもしませんでした……。

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死角から伏線が飛んできてひっくり返った瞬間

 直後の回想で「甜花も、一番大事なもの…守りたいから……」って言われるし本当に甘奈ちゃんと千雪さんのこと大切で好きなんだなぁって……もうずるいです……もはやずるい………アルストロメリアも甜花ちゃんも甘奈ちゃんも千雪さんも一生推す………

 

 

 今回の考察に至ったのは、まず前川涼子さん(以下、りょんちゃん)のチョクメがきっかけです。内容をここで言うことは出来ませんが、甜花ちゃんとアルストロメリアに関するりょんちゃんなりの考えをたくさん伝えてくれました。それを読んで『薄桃色にこんがらがって』の映像がフラッシュバックして涙ドバドバになってしまって……それと同時に、りょんちゃんの甜花ちゃんへの考え方が自分の考察よりも正解に近いのではと思ったので、考察し直してみようと思ったのが最初のきっかけです。


 次に、Twitter上でやつはしかけらさん(@L_2_S)の大崎姉妹考察ツイートを見かけたのもきっかけのひとつです。以下に引用します。

  このツイートの③にあたる、『甜花ちゃんは元々出来る子だったのでは?』という考えにかなり感化されました。他の説も拝見し、自分の今までの考察に検討が必要になると思って文字に起こしてみた次第です。やつはしかけらさんには許可をいただき、おかげで書き上げることが出来ました。この場をお借りして感謝申し上げます。
 VelvetRoseの考察でも同じようなことが言えますが、こうやって物書きをしていると、自分が思い付けなかった新しい考え方を知ることができてすごく充実した気分になります。さまざまな考え方を知ることで甜花ちゃんたちへの気持ちがより一層深まって、さらにコンテンツを楽しめるんですこれだからやめられない。みなさんにもオススメです。無限に時間が喰われますが。

 

 なんだか着地点が見えなくなってきたのでここで終わります。ひとまず最優先で整理したかった感情は整えられたので一安心です。こんな駄文に最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました!

 

反対ごっこします。アルストロメリア、大ッ嫌いです!!!!!!!!!!

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p.s. 反対ごっこ終わり ガシャローテ組んだ高山P許さない

 

ボタ餅